『恋愛は、真面目に本気で』
吉澤慎也(東海地区・元関東地区主事)
 「罪の意識のないのが、最大の罪ではないだろうか」と、三浦綾子はある本の中で書いている。

 ある学生は、好きでもない異性と二人きりで映画を見に行った。本人たちに言わせると、それはデートではないらしい。ある学生は、メールで深刻な悩みを異性に打ち明けた。以来、頻繁なメール交換が続いているが、本人たちに言わせると、お互いその気はないらしい。

 男女の人間関係のあり方には、それが「罪」だと明確に聖書には書かれていないが、よく考えるとあまり良くないと思えるようなケースが少なくない。そのような良くないあり方に対して、私たちがそれに慣れてしまい、「それくらい別にいいじゃないか」と思うようになるならば、それは感覚が麻痺しかけている証拠だ。そして、異性との距離の取り方は、私たちの感覚が麻痺しやすい急所なのだ。

 結婚後のことに目を向けてみよう。この感覚が麻痺すると、結婚した後で、自分の配偶者以外の異性との距離の取り方が不適切になり、夫婦関係に支障を来たすことになり兼ねない。そして、そういう距離の取り方は結婚すれば変わると考えるかもしれないが、人間はそんなに簡単には変われない。学生時代に慣れ親しんだ距離の取り方を、私たちは結婚生活にも持ち込むことになるのだ。その時「それくらい別にいいじゃないか」という言い訳は、夫婦間には通用しないし、させてはいけない。

 もしも思う相手でないならば、その気もないのにデートしたり、メールを送ったりすることは、相手の人格に対して失礼だ。たとえお互いに承知の上だとしても、結婚を考えられない男女関係を楽しむことは、サタンの巧妙な罠だ。そのような関係を悔い改める勇気が、幸福な結婚への第一歩となる。

 もしも思う相手がいるならば、恋愛は、真面目に、本気で取り組もう。その気があるなら、誠実に、真剣に相対しよう。駆け引きめいたやり方を考える前に、まず神様に祈ろう。周りと同じである必要はない。自分を盛り上げる必要もない。まず神様に祈ろう。

 今年も夏が終わろうとしている。少しクールダウンして、自分の異性との距離の取 り方を吟味してみてはどうだろうか。
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