●失ってしまったノートの記憶をたどって 山崎 龍一(総主事) |
大学2年生のとき、KGK学内リーダーになった。その年の5月、関東地区で開催された「学内リーダー研修会」に参加した。各大学の学内リーダーが集まり、主事からのメッセージを聞き、葛藤と恵みを分かち合い、互いに祈り合った。メッセージを担当したのは当時新人主事のMさん。「リーダーは就任したその日から後任者が与えられるように祈ること。そして孤独に耐えるように。」と語った。驚いた。リーダーになったばかりの私は、学内リーダーの使命やタスクリストを教えてもらえるとばかり思っていたのに、すでに終わりのことを考えるなんて…と。
それから10年後、会社員時代を経て主事になり、さらにその2年後から事務局長になった。そのときM主事の言葉の奥深さを実感した。そして書き始めたのが一冊のノート。事務局長になったその日から最初の二年間、自分がどんな課題に直面し、どんな解決方法を試み、そしてどんな思いで毎日を過ごしているか…それを次の事務局長に就任するまだ誰とも分からない相手に向かって書き始めた。自分の後任の事務局長に渡そう!と心に定めていた。
お気に入りの万年筆で書き綴ったそのノート、残念ながら引っ越しのときになくしてしまった。でも、そのときどんな気持ちで書きつづけたかは今でもはっきり覚えている。そのときには日常だった出来事が20年という歳月を経て歴史となり、今年の4月に就任した後任事務局長への引継事項の礎となっている。
歴史は私たちの人生の積み重ねであり、そこに重ねられた言葉や体験が未来を形成する土台となる。その橋渡しをするのが神様の意図としての歴史を継承するキリスト者の使命でもある。
学生は後輩を愛し、仕え、祈ること。卒業生は学生達のために主事を派遣するという形で祈りを結実しつづけた歴史があり、教会は宣教と教育という視点からKGKを支援してくださっている。それぞれの立場での思いが祈りとなって重なり合うとき、KGKは未来を築く歴史を刻み、終末に向かう歴史に生き続ける。
学生の皆さん、キリスト教の歴史、教会の歴史、そして学生伝道の歴史を学ぼう。