『福音と文化について』
グラハム・スミス(関西地区主事)

1. はじめに
 KGKでは「文化命令」という言葉をよく耳にします。KGK運動に大きな影響を与えています。創世記1:28から生まれた表現です。神のかたちに創られた人間が与えられた世を治める責任を果たすようにという命令です。その言葉がスローガンのようになっていないかと心配しています。
 その結果「文化」の意味が隠されてしまっています。聖書的な意味よりも、伝統的な意味になってしまいます。「文化」というテーマは大きすぎるなので、「文化と福音」とう題について考えさせられたことを分かち合いたいのです。

2. 宣教学の影響
 宣教学では「 福音と 文化」(Gospel and Culture) の関係という課題がよく出て来ます。残念ながら宣教会議などで論じあったことによると聖書的なアプローチは弱く感じます。文化人類学の立場の方が強いのです。歴史的に「文化」の学びは宣教活動から生まれました。宣教師たちが異文化に関わり始まったから、一般の学者たちも文化に対して興味をもつようになって、文化人類学は発達しました。現代はほとんどの宣教学は人類学の考え方に基づいてにます。聖書の土台は弱くなっています。

3. パウロの教えによると
 ここで聖書全体を見ることができませんが、パウロの神学から学ぶことを紹介します。

(1)「福音」と「文化」の定義
 パウロは「福音」という言葉をよく使いましたが、「文化」という言葉は使いませんでした。福音の意味はローマ1:1-5; 16-17にまとめられています。
 パウロは人類(文化)を聖書全体的な視点から示しています。教理的に文化を創造、堕落、贖い(贖罪)redemption、please check.終末論,それぞれの立場から人類(文化)を見ています。(参考:ローマ1:18-32、3:23、5:12-18、8:18-39)
 パウロは国民や種族や言葉の違う民や民族の複数を認めています(使徒22:25-28、1コリント9:19-22、ピリピ3:5-6、ガラテヤ3:28)。しかし、パウロは人間を二つの種類に分けています: キリストの内にいる者と、そうではない者と。(ガラテヤ3:26-29、ピリピ3:7-9)。別な分け方は終末的:この時代の者と、次の時代の者と(2コリント5:16-17)。福音は すべての人を「死の文化」から「いのちの文化」へ呼びかけています(コロサイ1:13-14、エペソ2:1-7)。
(2)ユダヤ人と異邦人の違い
 パウロははっきり教えました:福音は全人類のものです。(ユダヤ人も異邦人も含めて)です。しかし、それは「ユダヤ人をはじめ,ギリシャ人にも」(ローマ1:16)。ユダヤ人と異邦人の違いは文化的なものより、神学的なものでした。それにもかかわらず、パウロの伝道活動はユダヤ人と異邦人がスムーズに教会に受け入れられるように注意しました (使徒15章、ガラテヤ2章)。このテーマはパウロの手紙によく出ています。
(3)パウロの文化との関わり
 使徒の働きによるといろいろな関わり方が示しています:対決(使徒 13:10、16:16-18:19-26)自分の文化(ユダヤ人、ローマの市民)を利用する (16:37;21:37-39;22:1-2、25-29;23:27;25:12)文化の特徴(言葉と習慣)を認める(使徒15:1、14:11、16:21、17:22、21:20-26:22:1-2、23:6、26:2、28:17)福音と悔い改めのメッセ−ジの必要を守りました(使徒17:30、18:4、19:8、23:6、24:21、23:6、24:21、26:28-29)パウロの影響によって文化が変わりました。進められた場合(15:2)もあり、自然な結果の場合もありました(19:18-19)。
 パウロの説教を見ると適切な言葉使いが示されています(使徒17:22-31)。

注意:神の主権性はすべての文化の上に関わりますが、神はヘブル人の文化を選んで啓次を与えました。ですから、異文化のなかででも、福音を語る時、聖書の歴史的、文化的な文脈を守らなければなりません。
(4)パウロの手紙から学ぶこと
 「この世」に生きることは文化と福音の接点です。パウロはローマ12:2の命令、「この世に倣ってはなりません。」をいろいろな状態に適用するように教えました:人間関係(ローマ12:3-21)、国のリーダーに対して(ローマ13:1-6)、結婚と家庭(1コリント7;エペソ5:22-6:4)、法律(1コリント6)、食事の習慣(1コリント8)、お金(2コリント8-9)。すべての命令の基に福音が立っています。この世との関わり方は福音から教えられます。この福音の基準は自由のじゃまものではありません。むしろ、福音を語る動機を与えるものです(1コリント9:19-23)。パウロはいろいろな文化の違うところで福音を語ることが出来ました。パウロは奴隷としての模範を示しました。

まとめ
 パウロから異文化に関わることについて色々なことを学ぶことが出来ます。KGKが大事にしている「文化命令」に従おうとするならパウロの 教えも参考にした方が良いです。

後書き
 現在、オーストラリアの教会やクリスチャン大学生にKGKのことを紹介しています。大勢の人はKGKのために祈っています。感謝しましょう。2003年1月に日本に戻る予定です。NCでまた分かち合いましょう。


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